MATCH Leather Works の All That's BANZAI !

長濱レザーのMATCH Leather Works

べんがらと柿渋と松煙と

 MATCH Leather Works でございます。

 唐突ですが台車を買いました。どの規模の出展であれ個展をするであれ、什器や作品の搬入出は課題です。今まで手運びでブースから車まで何往復もしてましたが、これで2往復位になりそうな予感。ラク出来る所はラクしたいお年頃なのです。

べんがら&松煙のペンケース

 という訳で、新作の1本挿しのペンケースです。

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 以前2本挿しのモノを作りましたが、今度は1本。たかが1本の収納の違いですが、自分の中では意味合いがだいぶ変わっています。2本挿しは実用的。「ボールペンと赤のサインペン」とか「1mm芯のシャーペンとノック式消しゴム」とか。少数のお気に入りを組み合わせて楽しむ使い方です。対して1本挿しは保護用途だと考えています。奮発して買った高級ボールペンやらを大事にする為のモノ。悪い言い方をすれば究極の自己満足。「いいモノを大事にする」を形にしたようなモノでしょうか。だから沢山のペンを持ち歩きたい方には向いていません。お気に入りの1本を末永く使いたい方にお勧めします。週末の出展からお持ちしますので、ご興味お持ちの方は手に取ってご確認下さい。

べんがら革の特徴について

 さて、散々「べんがら革いいゼ!」と言っておりますが「そもそもどんなモンよ?」と思われる方が9割だと思います。なので今更ながら簡単に特徴などを書いてみましょう。

 ①耐水性

 塗りに使っている「べんがら」「柿渋」共に耐水性を持ちます。革の吟面にべんがら・柿渋の混合液による塗膜が作られる為、無加工のヌメ革に比べて水濡れに強いという特徴があります。事実自分が使っているべんがら革のスマホケースやライターケースは相当手荒い使い方をしています(濡れて半乾きの手でベタベタ触る等)が、水濡れによるシミは確認出来ません。もちろん防水ではありませんので限度はありますが。

 ②キズに強い

 前述のようにべんがら・柿渋の混合液が塗膜を作ります。薄く何層にも重ねられた塗膜がキズから守ります。釘でひっかくとかの大ダメージにはもちろん無力ですが、小キズなんかは入りにくいでしょう。

 ③刷毛目がキレイ

 薄く塗り重ねた塗膜には塗り方向への刷毛模様が現れます。木目のようなラインが独特の表情を見せ、とても美しい。また、全てを手作業で行っているので一つとして同じモノが存在しません。同デザインのコインケースでも、刷毛模様の加減で雰囲気がガラリと変わるのです。

 ④珍しい

 単純に珍しいです。「べんがら 革」でgoogle検索すると、検索TOPはほぼMATCH Leather Works。ある意味これは凄い気がします。

 …と、挙げ始めれば色々あるのですが、とりあえずこの位で。

 逆にデメリットは?

 ①経年変化(エイジング)が少ない

 顔料仕上げの宿命ではありますが、生成のヌメに比べてエイジングが少ないです。特にべんがらは隠蔽力が強いので、吟面の状態がほぼわかりません。「ヌメのエイジング大好き!」な方には物足りないかもしれません。その代わり、柿渋は光や酸素に触れる事で色が変化していきますので、そっち方向のエイジングは楽しんで頂けるのではないでしょうか。

 …他にあるでしょうか。正直あんまり思いつきません。顔料仕上げの革はエイジングが弱いという共通事項くらいしか思いつきませんでした。

 顔料塗りの革でその顔料が特殊で手作業だ、という事です。化学的に超安定してる酸化鉄なので、色味の安定感は抜群ですよ。最近始めた松煙も昔から建材に塗られる黒なので、日本の古色を楽しみたい方、あるいはクールジャパンなモノをと考えられる方には是非お勧めしたいですね。

 7/30には長浜駅前で個展も開催します。ご興味お持ちの方は是非どうぞ。

 ちなみにウチの猫様とジャニス・ジョプリンが似てるという事実。

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 お付き合い、ありがとうございました。