黙々準備
MATCH Leather Worksでございます。
いつの間にか10月も下旬になっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。こちらは先日の出展の際に「太ったね」「去年より太ったね」「うん、太ったね」と言われたのでダイエットを決意しながらポテチ片手に焼酎を呑んでいます。え?ダイエットは明日から、という名言がありましたよね。問題はいつ明日がやってくるのか、という事です。寝れば明日は今日になるので、いつまでも明日という日はやってこない訳でして。
散々使い古された言葉遊びをしておりますが、滅法忙しい状況になっております。
何が忙しいかって?
ア ジ ト の 準 備 で す よ !
木材を延々とヤスリで整えます。ちなみに木材は予算がないので針葉樹合板。ホームセンターで1枚1,000円のコイツだって、しっかり下準備してやればちゃんと出来る子になるのです。ホントはヒノキとかの一枚板で調度品作りたいのは秘密です。
サンダーがあれば作業効率爆裂アップなのですが、そんなステキなモノは持ち合わせておりません。右手が何かに目覚めるくらいガシガシ磨きます。1820×910の合板を4枚分×両面。二度とやりたくありません、ハイ。
で、まずは作業台の両隣に置く棚を作りました。
はい、ステキ!自画自賛しておかないと心がメッキメキに折れてしまいそうなので自分を自分で褒めるスタンスで進行します。
作業台と棚ですが、実はひとつだけこだわりがあります。作業台と右棚の天板及び左棚の棚板が同じ高さである事。コレです。
なんでそんな事してるのか。塗り作業に必須だから!そう、必須です。
当方では革を約25cm幅の短冊にしてから塗り作業を行っています。その革の長さは1mを超える事もありますし、左から右へスライドさせながら作業を行う事もあって横に長いスペースが必要。しかし下処理や縫製を行うにはそんなに大きなスペースは必要ありません。
だったら分離・合体出来るようにすればイイじゃない!
という訳で作業台と棚が合体する仕様になっているのです。作業台は90cm、棚は1つ30cm。合体すれば150cmの横長作業スペースが完成するという仕組みなのですよ。これだけあればなんとかなる、ハズ!まだ実際にここで作業してないのでなんとも言えませんが、多分大丈夫なハズ!
今日は木材を運び込みました。この黒いのは黒板塗料を塗った合板です。別にチョークで書き込む訳ではないのですが、マットな黒が欲しかったんですよね。それと仕切り用の板と柱用の木材も運び込んでいます。彼等を塗ったり磨いたりワックスかけたりして下準備をしておりました。
明日はパーテーション兼展示棚になる彼等を組み立てます。図面では上手くいっているので、多分上手くいくハズ。合板の強度がどうなるかわかりませんが、多分上手くいくハズ!
アジトのオープンは11/1を予定しております。大々的な宣伝は行いません。間に合わないかもしれないので。SNSやサイト、ブログにてその辺りはお知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。
遊びに来てね!
お付き合い、ありがとうございました。
アトリエの鍵を手に入れた!
MATCH Leather Worksでございます。
遅くなってしまいましたが、10/6~7日はアートインナガハマでした。足を運んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。
少しずつですが皆様に長濱レザーの事が浸透してきているようで、本当に嬉しく思います。
「見た事ある」「新聞で見た」「あのマスクの兄ちゃんだろ?」「STUDIOこほく見たよ」等、色々なお声がけをいただけて有り難い限りです。最近ではボウタイが若いカップルの方に人気で、実際に首元に合わせながら「どれがいいかな?」とお選びいただいております。ヒゲのおっさんはそれをニコニコしながら眺めておりますので、気持ち悪がらずに生温かく見守ってくださいませ。
時期としてはふるさと納税の申し込みも始まってきております。長浜市外にお住まいでご興味おありの方は、この機会にいかがでしょう。
そして御報告。
遂に!
アジトの!
鍵を!
手に入れたぞ!
はい、玄関扉はこんな感じで真っ赤です。
いいですね、真っ赤。非常にポップで素敵です。全然動かなかったスチールの扉、再利用しようと思っていたのですが、交換して正解でした。
中身はこんな感じになっています。まだゴチャゴチャ適当にモノが置かれていますが、これから内装をDIYしていくのですよ。
イメージカラーは赤&黒。木部は赤、漆喰壁は黒。
赤部分に関しては、本当はべんがらを使いたい。けれど、塗装が剥げてお客様についたりするとご迷惑をかけてしまうので、違う塗料を使っています。それでも雰囲気を題したいので、ペンキやべんがら風塗料ではなく柿渋塗り部を保護する為の塗材を使う事にしました。木部の呼吸を妨げない上に内装&外装どちらにも使える優れものだそうで。つまり木部には柿渋を全部塗る、という事です。既にかなり柿渋を塗っているので相当臭いはずですが、バカになった私の鼻にはまったくわかりません。
柿渋塗ってコート剤を塗るとこんな感じになりました。思ったより浅めの赤ですが、落ち着いた雰囲気で素敵です。まぁ自分の至らなさによりムラが凄くなってしまった訳ですが…味がある、という事で勘弁してください、いやマジで。
このスペースには棚を作って商品を並べたりステキな写真を飾ったりするので、ムラはそんなに目立たないハズ!ちなみにステキな写真は手元に1枚もないので、全然関係ないCDとかギターが置かれているかもしれません。
さすがに1つもべんがら塗りの部分がないのもどうなのか。ですので、もともとあった建具をべんがらで塗り直しています。結構ボロボロだったので、板を張り替えて磨いてべんがら塗って磨いてこんな感じになったステキ建具。コイツは実はトイレの扉です。トイレの扉のクセに妙にカッコいい。そんなステキなヤツです。中はというと…
こっちも赤&黒!超カッコいいと思うんですよね!トイレは床が黒で壁が赤になってますが、基本はその逆、床が赤で壁が黒。漆喰壁は黒板になるので、POP書いたりカレンダーにしたり落書きしたりしてもらったりしようと考えています。落書き・告知大歓迎!遊びにおいでくださいませ。
そんな感じでボチボチ内装いじりを進めております。近いうちにスタートさせられるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
明日の朝9:00にe-radioを聞いているとヒゲのオッサンが現れるかもしれません。
お付き合い、ありがとうございました。
怒涛の3週間
MATCH Leather Worksでございます。
猛烈に久しぶりにブログを更新しています。前回更新からおよそ三週間。結構な勢いでバタバタしておりました。
自宅の台風被害からの復旧、サンデービルヂングマーケット、急遽決定した百貨店催事、まさかのSTUDIOこほく様生出演。ちょっと怒涛の勢いでした。
特に百貨店催事なんて自分には当分先の話だと思っていたので、とてもよい経験となりました。開店時に店員さんが皆シャキッと並んでお辞儀をしている様子。まさか自分がソレをする事になるとは思いませんでした。
色々な方と出会う事が出来て、本当に有り難い限りです。
ちなみに当方のボウタイ「BIG BAT WING」ですが、遂に湖南市長様に装着していただけました。やはり湖南市長といえばボウタイ、ボウタイといえばBIG BAT WING。こういった繋がりで市を飛び越えて滋賀そのものがもっと元気になれば、と思います。
そして先日はSTUDIOこほく様へ生出演。ああいった場ではあまり上手くしゃべれないので、なんとも胡散臭いヒゲ親父になっていた事でしょう。それでも、ほんの少しでも長濱レザーの面白さを伝えられる機会をいただけた事に感謝いたします。
アーカイブとして映像が残るそうなので、お時間あれば是非どうぞ。
次回出展を予定していたThanks Carnival@伊吹ですが、台風の影響を考えて出展をキャンセルさせていただきます。いくら水汚れに強いといっても、流石に台風にはかないません。楽しみにしていただいた皆様、申し訳ありません。
その次の出展、アートインナガハマ@長浜でお会い出来ますように。
お付き合い、ありがとうございました。
災害には負けない!
MATCH Leather Worksでございます。
台風や地震など、平成最後のこの年は自然災害に悩まされる一年です。どうか皆様、頭の片隅に防災の事を意識してお過ごしください。
ちなみに我が家がある長浜市高月町では結構な勢いで停電があり、電気の大切さを否応なくわからされる事となりました。何が一番困るって自宅はオール電化なのです。調理も出来ないしお湯も出ません。全てがストップした中、嫁様と息子ちゃんと三人で肩を寄せ合ってしょーもない事をベラベラ喋っておりました。ある意味親子水入らずです。
アジトに関してですが、祈る事しか出来ないので考えないようにしてました。で、暴風雨が収まってから光の速さで駆けつけた所、有り難い事に無事でした。
確認しに行った時はこんな状態でした。既に古くなった壁や柱は撤去され、新しい柱や筋交いが入っていました。玄関扉の一部も撤去され、新しい扉が入ります。工事が終わっても見た目のオンボロはほぼそのままです。が、変に塗り直したりはしないでおこうと思っています。綺麗なテナントで仕事がしたいのではありません。よくわからない秘密基地みたいな所でヒゲのオッサンが何か凄いモノ作ってる、という状況でありたいのです。
スタイリッシュは自分には似合いません。時代のニーズは完全にそっちなのでしょうが、テンプレのカッコ良さではなく自分の好みを追い求めたいと思います。
で、台風の最中に塗り作業をしていました。停電で中断せざるを得なかったのですが、今回は25cm幅の短冊を6枚塗りました。現在乾燥中で、これから仕上げ作業をしていきます。僅か6枚と思われるかもしれませんが、これがなかなかに大変です。手や気を抜いてしまうと塗りの表情に一発で現れてしまいますので…ちなみに何故短冊状にしてしまうかといえば、半裁と言われる牛さんの半身分の革を刷毛で塗るには無理があるからです。オジさん精神的にまいってしまいます。
元の状態はこういう感じです。所謂タンローといわれるヌメ革。すっぴんの素肌美人さんですね。
この子達にお化粧をしていく、という事をしています。今回は新品の柿渋を使用。新しい渋のフタを開ける時はなんだかワクワクしてしまうんですよね。匂い嗅いでしまいますし。たまたま作業場に親戚のオジさんが来たのですが「臭い!ホント臭い!」と言ってたのでアジトもこんな匂いになるのかな、と思うとちょっと考えてしまいます。まぁ私の鼻は既にバカになっているので、なんの違和感も感じません。むしろいい匂いくらいに思っています。おいでになる際には「臭い!」という準備をお忘れなく。
ダマにならないように丁寧に溶いて…
塗ります!これは塗り一回目の写真。この後磨きます。
歴戦のタオル先生が茶色くなってます。そう、このタオルで繊細かつダイナミックに磨き上げます。余分なべんがらを拭き取ると同時に圧をかけて吟面を平滑にする事でツヤ出し。実は一番重要な作業だったりします。
こちらは磨きあげた後。この時点ではほんのりピンクっぽいような茶色いような、という状態。作業を繰り返すと赤茶の独特の雰囲気を出してきます。
この後停電となり、作業断念。次の日に作業を再開しましたが写真を撮る気にならず…
出 来 た !
猛烈に端折ってますが、8回塗り&3回磨き×6枚。時間として一日では終わらないので、停電していなくても2日間の仕事になったかと思います。
ここから乾燥させて薄くトップコートを塗ってまた乾燥させてオイル入れて寝かせて床面洗って寝かせてやっと完成です。長濱レザー、実は相当時間がかかっているのです。
ウチの名刺入れやお財布を「長濱レザー」だと思っておられる方が大半かと思いますが、この素材自体が「長濱レザー」です。それを使って全て手仕事で小物を製作しているのがMATCH Leather Worksです。
長濱レザーというマテリアルの製作そのものが当工房の基盤。
自分が生まれ育った土地の美しい色を知ってもらいたい。
キレイなだけではなく、水汚れが目立たず防カビ効果も期待出来ます。
皮革製品の新しい選択肢として、是非皆様に知っていただきたい。
ちなみに9/16(日)に岐阜県の柳ケ瀬商店街にて開催のサンデービルヂングマーケットに出店いたします。お時間ある方は是非遊びにおいでくださいませ。
お付き合い、ありがとうございました。
着工!
MATCH Leather Worksでございます。
先日からずっとお伝えしていたアジト計画ですが、遂に着工いたしました。
着工当日、遅まきながら午後前に現場を確認しに行くと設置されている足場。あぁ、遂に始まるのだなぁとほんのり実感です。
最終的に結構な箇所を直す事になりました。朽ちている東側の柱2か所。崩落してしまった川側の二階モルタル部。超絶立て付けが悪い上に取り外しが出来ない玄関扉。水道工事に下水工事に電気工事。畳を板床に変更。ザックリこんな感じです。それ以外の部分は自分でボチボチ修繕しながらやっていく予定。
予定以上の出費がかかってしまいましたが、自分の城となる場所を手に入れる事が出来る興奮はなかなかのものです。キャーキャー言っていても伝わらないから静かにしてますが、結構大騒ぎしたい気分なのですよ。
それにテナントを借りてお店にするよりもだいぶ金銭的にラクという部分もありました。1年やそこらで廃業するつもりはありません。例えば10年アジトで頑張ったとします。内装・外装費に土地代、光熱費などをおおまかに計算して120で割ったら、テナント料一か月分より断然安い。
もしかしたら建物が10年頑張れないかもしれないけど、それでも不特定多数のいろんな方と直接触れ合える拠点を構えられるというのはとてつもなく大きなメリット。
お客様が来られたら、まずは顔を見ておしゃべりがしたい。ゆっくりのんびり作品をみていただいて、ちょっとした受け答えを楽しみたい。窓から見える川はキレイで、疲れていてもきっと大丈夫。丁寧に仕事をしながら、玄関が開いたら「いらっしゃいませ」と言うのだ。
そんな夢を見ています。
奇しくも自分の誕生日に着工が始まったアジト。少し自分を投影している所もあります。例えボロボロでも、自分にとっては価値のある基地だ。
そんなこんなで、まだ足場が出来ているだけですが、これからが本番!やらなきゃいけない事がたくさんです!
例えば工具入れ。一本ずつ立てる木のスタンドとかあるんですけど、これを自分で作りました。対外的には「店舗」だからカッコつけなきゃダメ、と言われます。正直な事を言うと、知った事かと思っている面が強い。だって秘密基地だもの、アジトだもの。誰の為でもない自分の為。自分がカッコいいと思わなきゃ絶対にやっちゃダメ。
コンセプトは「自分の自分による自分の為のアジト」なのです。そこに友達を招待して「秘密だぞ」と言って一緒に遊ぶような、そんなワクワクした感じが欲しいのです。だから、という訳ではありませんが、調度品は基本的に自分で作ろうと考えています。
作業台なんかも自分で作る事にしました。コレはとりあえず土台部分。これから天板を取り付けます。結構ガッシリしてるので、十分仕事は出来そうです。
さぁ、準備をしていきます。皆様にワクワクが届けられるように、丁寧に仕事をしなきゃ。
お付き合い、ありがとうございました。
初、雑誌に載る
MATCH Leather Worksでございます。
台風の影響か蒸し暑くなってきてますね。湿気大嫌いボーイなので思わずエアコンをつけてしまいました。残念な37歳です。
さて、ちょっとビックリしています。
本日8/21発売の日経マネー10月号の特別付録、ふるさと納税最新マニュアルにウチのボウタイが掲載されていました!
はい、ちょっと怯えています。実際に連絡はあったのですが「どうせ載らねぇよ全国紙になんて」と思っていたので、今日紙面で確認して本屋さんで飛び上がってしまいました。
まぁそれで突然大きく何かが動き出すという訳ではないと思いますので、特にペースを変えて何かをするという事もなく。マイペースで頑張らせていただきます。
実際、ウチのボウタイはインパクトあると思います。数少ないレザーボウタイの中でも木目模様のべんがら塗りという希少具合はなかなかのモノだと自負していますので。問題はあまりボウタイつける習慣が根付いていない、という事でしょうか。
この暑さが収まったら、自分もボウタイ付け倒して生活しようかと思います。
もちろん掲載のボウタイ以外にもふるさと納税返礼品の取り扱いはありますし、当方のオンラインショップもございます。どうぞよろしくお願いいたします。
こちらはふるさと納税ポータルとして有名なさとふる様のページです。こちらからチェックしていただけます。
他にもふるぽ様やCity do様、楽天市場様とあります。お好みにあったサイト様を御利用ください。
また、こちらが当工房のオンラインショップです。オシャレな仕上がりという訳ではありませんが、頑張っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
今週末は長野は木曽福島まで遠征です。「実際どんなモンよ」と興味をお持ちになった方は、是非遊びに来て実際に触っていただければと思います。
お付き合い、ありがとうございました。
こんな感じで作っています(ザックリ版)
MATCH Leather Worksでございます。
最近はアトリエの修繕にかかりっきりですが、ちゃんと製作も頑張っています。比率は若干おかしな事になりつつありますが…
アトリエ予定地の後ろ、外観にはまったく関係ない所が崩落。ちょっと素人にはどうしようもない感じで、そこも修繕をお願いする事になりそうです。あぁ、またもや出費…でも安全が一番ですからね!頑張る!
さて、今回は珍しくどんな感じで作っているかを少しだけ。
長濱レザーは所謂【ヌメ革】というヤツです。時間が経つと飴色に変化して味が出るんですよねぇ、とよく言われるアレですね。そのヌメ革がまったくお化粧していない状態のモノを仕入れて、柿渋とべんがらで頑張って塗装をかけています。
よく塗装に関しては書いているので、今回は製作について。ウチのド定番「TEIKI」を実験台にしてみましょう。
まずはパーツを切り出します。機械とか抜き型なんてものはないので、革包丁などの刃物と革ポンチでザクザク切り出すのです。
で、切り出したパーツさんがコチラ。
ちょっと写真が見辛いですがこんな状態。断面がケバケバしてませんか?これが切りっぱなしの状態です。そのままの状態で売ってるトコもありますが、頑張ってコレを磨きます。触り心地も耐久力も違うし、何より見た目が美しくなりますので。
ヌメ革の特徴として「濡らして圧をかけて磨けばツヤピカになる」という特徴があります。可逆性がどうとか難しい言葉は無視です。
濡らす→擦る→ツヤピカ!
とりあえずこれでOKです。
ウチでやってるコバ処理はこんな流れ。
ヤスリで磨いてから軽く濡らして磨く
↓
熱処理
↓
番手の細かいヤスリで再度磨く
↓
トコノール塗布して磨く
↓
ロウびきして熱処理
↓
オイル入れ
納得いかない場合は磨き処理を繰り返しますが、大体こんな感じです。ちなみに【コバ】というのは革の切り口、断面の事を指します。
磨くとこんな状態。ツヤピカです。地味にサイドポケットに捻入れとかもしてます。
組み上げ前に磨けるのは写真の部分だけなので、ここから組み上げ。まずはサイドポケットと前胴をくっつけます。
ハイ、くっつけました。超カンタンですね。最初に大きさをしっかり調整してから貼り合わせればOKです。ちなみに片方を少し大きく裁断してから貼り合わせて余分を切り落とす「チリ落とし」というやり方もあります。が、自分はやりません。なんとなく性に合わない。それだけの理由です。カンタンですね。
貼り合わせに関してですが、ウチでは白ボンドを使います。サイビノールなんかが革用としてはよく使われていますね。ゴムのりは苦手なので使っていません。なんだか使いにくいんですよ。
道具やらの採用・不採用理由の8割は自分の手に馴染むかどうかなので「革細工のエラい人がこう言ってる」とか知った事ではありません。その人達だって自分にとって使いやすいものを勧めてるハズ。だから「あの人がこう言ってるから私も!」なんて道具の選び方しなくていいと思います。自分に馴染む、が最強ですよ。
さて、貼り合わせたら一部を先に縫っちゃいます。今縫わないと縫えないからです。単純ですね。糸はビニモMBTの5番手。ピッチがもう少し広い場合は1番手を使っています。自分にとってはこのバランスが一番美しいので、これ以外では縫いたくないレベルです。
で、縫った所を前述した感じで磨いたらいよいよ大詰め。背面パーツと組み合わせます。
簡単に組み上げるなら、背面パーツを貼り付けて片面から菱目打ちでガシガシ叩いてやればOK。でもちょっと手間をかけます。貼り合わせる両パーツの同じ位置に先に穴を開けてから貼り合わせ。ウチでは裏表両方見える箇所は基本この方法です。
手間が二倍かかるので、正直面倒臭いです。でもここは自分のこだわりたいポイントなので妥協は出来ません。
写真で見てもらうとこういう状態。貼り合わせたらそのまま針が通るように穴が開いています。これがズレてたりすると縫えません。開け位置を間違えたら終了です。修復出来ませんからね。
じゃあなんでこんな面倒臭い事するの?という話になると思います。
この写真は、貼り合わせてから菱目打ちで穴を開けた革の裏です。こんな感じで穴が開きます。穴を見てもらうと、上の写真に比べて菱の形が逆になっているのがわかります。縫っていくと表に対して糸の走り方が変わるという事です。
具体的に見てみましょう。左は穴を開けてから貼り合わせ、右は貼り合わせてから穴開けをしたものです。糸の走り方が違うのがよくわかります。要は縫い目に表裏が出来てしまう、という事です。これが嫌いなんですよ!裏表なんて存在して欲しくないというか…美しくないと思ってしまうのです。
なので、穴を開けてから貼り合わせます。少しでも美しく作りたいのです。
貼り合わせてから縫って、カドを落として磨いて完成。
こうしてひとつひとつ機械を使う事なく、すべてを手作業で製作しています。
時代に合わない非効率的な作業であるとわかっています。しかし、そういった手間物を愛してもらいたい。消費するアイテムではなく、長年付き合っていく相棒になってもらいたい。そう思って製作する毎日です。
長濱レザーの特徴は、美しい木目模様の塗装です。
べんがらと柿渋による塗装で防汚・防カビ性も期待出来ます。
それは地域の色を残したいと思う職人がひとつひとつ手作業で塗装を施し、下処理や縫製を行っています。
皆様に愛していただけるように、明日も丁寧な仕事を。
お付き合い、ありがとうございました。